ベータ版事業 01 センサー等によるリアルタイム・準リアルタイムデータ活用の検証

都市の様子を
リアルタイムで見守り
未来の東京を見通す

ベータ版事業 01のイメージ図

概要

都市のデジタルツイン構築に向けて、センサー等により取得したリアルタイムデータの活用可能性を検証します。
リアルタイムデータを活用することで事業の高度化・効率化の可能性がある業務を検討し、データの試行利用を実施します。

目的

  • リアルタイムでの観測価値が高い都市の情報及び予測手法を検討
  • センサー・リアルタイムデータの試行利用を通して各局事業の高度化を検証

実施スケジュール

2023年7月まで
センサーを活用したリアルタイムデータを活用可能な東京都各局業務の協議・決定
2023年12月から
選定したセンサー・リアルタイムデータの業務活用の試行・検証
2024年2月まで
成果とりまとめ

庁内業務における
センサーの
活用状況・ニーズ調査
を実施

都庁内の各部署に対しアンケート及びヒアリング調査を実施し、現在及び将来的な業務におけるセンサー等によるリアルタイムデータ・準リアルタイムデータの活用状況(予定含む)を確認しました。調査の結果、センサーについては庁内各局・各分野で一定の活用がなされているものの、取得目的・分野・カバー範囲が限定されている場合が多く、広域・汎用的なデータの庁内共有・活用には課題があること、広域でセンサーを設置し維持・活用する際の費用対効果に課題があることが分かりました。

センサー・リアルタイム
データを活用している業務

センサー・リアルタイムデータを活用している業務 表。

アンケート結果を踏まえ
把握した内容

  • 庁内各局・各分野で一定の活用がなされている旨や、取得されているデータ種別を把握
    他方、各局事業で設置するセンサーは取得目的・分野・カバー範囲が限定されている場合が多く、広域・汎用的なデータの庁内共有・活用については今後の課題
  • 今後の活用展望については、人等の移動データを取得するセンサー、施設管理高度化の為の扉開閉センサー等について要望あり
  • ヒアリングでは活用意向の他、広域でのセンサーの維持・活用における費用対効果面の課題も確認
    広域のデータ取得については、民間等で取得・市販されているリアルタイムデータ等の活用とも比較が必要

AIカメラ・プローブデータを
活用した
交通量調査の
成立可能性の検証

上記の庁内ニーズ調査を踏まえ、具体的な実地検証としては、AIカメラ及びスマホプローブデータで車や歩行者等の交通量を取得し、調査員による人手観測と比較しデータの妥当性についての検証を行いました。またこれらのデータを用いて、交通量調査に関する既存の手法を代替又は効率化可能かについても併せて検証しました。
検証にあたっては、建設局が実施する「全国道路・街路交通情勢調査(道路交通センサス)」での条件を参照することで、データの活用可能性についても検討しました。

AIカメラによる交通量計測の例の画像
AIカメラによる交通量把握のイメージ 出所:SCORER社(https://www.scorer.jp/products/scorer-traffic-counter
スマホを活用したプローブデータのイメージ画像
スマホを活用したプローブデータの
イメージ 出所:ジオテクノロジーズ社(https://geot.jp/products/cloud_service/people_movement_data/

AIカメラを活用した
交通量調査の試行結果

道路交通センサス実施箇所から5箇所を選定し、歩道橋にカメラを設置して交通量を計測しました。また、一般交通量実施箇所から1箇所を選定し、照明柱設置型のカメラ(ビューポール)を設置し交通量を計測しました。計測はAIを活用し、人手計測と比較することで捕捉の精度を検証しました。
検証の結果、車種に関わらず自動車交通量を取得する場合は、原則本実証と同様の手法で実施可能であることが分かりました。一方、歩行者、自転車等を区別した交通量調査については、現時点のAIカメラ技術では要求水準を満たしておらず、異なる技術の検討が必要であることが分かりました。

今回調査で実施したAIカメラの設置例の写真
今回調査で実施したAIカメラの設置例
(左:歩道橋への設置、右:照明柱への設置)

今後、都市のセンシングの検討が進み、3Dビューア上でリアルタイムな交通量を把握する際のイメージとして、今回のAIカメラの計測結果を3Dビューアで表示しています。

AIカメラ計測結果を
3Dビューアでみる

データ取得結果を踏まえた
分析結果

データ取得結果を踏まえた分析結果 表。

運用面での展望・課題

運用面での展望・課題 表。
国の定める機器仕様書(案)は、画像認識型交通量観測装置 機器仕様書(案)を参考にしています。

プローブデータを活用した
交通量調査の試行結果

AIカメラ設置箇所と同時点の交通量をスマホプローブデータを用いて集計し、拡大推計を実施することで、交通量調査の成立可能性を検証しました。
その結果、対象種別によらず定数項において有意水準が高くなり、12時間交通量の把握に活用可能性があるとされたほか、道路別の類型を一定把握することができました。他方、道路類型別の交通量推計式については、今回の結果からは把握が難しいという分析となりました。

プローブデータ集計・分析を
踏まえた示唆

プローブデータ修正・分析を踏まえた示唆 表。

検証成果・今後の課題

本検証により、以下が明らかになりました。

検証成果

  • センサー・リアルタイムデータの活用事例集の作成
  • 庁内各局におけるセンサー・リアルタイムデータ活用ニーズの状況を確認し、活用範囲を把握したほか、今後の役割分担の整理を実施
  • 都内におけるセンサー設置・データ取得に係る手続きや論点整理、活用可能性検証を、交通量調査連携の例を通して確認

課題・今後の方向性としては、以下が挙げられます。

課題

技術面
  • 交通量調査の機械化検証について、AIカメラ及びプローブデータの適用可能性の他精度面等における課題も把握
運用面
  • センサーを設置・維持管理し続ける運用は、費用面で課題がある場合もある例を確認

今後の方向性

技術面
  • センサー・リアルタイムデータ活用事例集を各局の事業検討用として展開
  • 今年度得たセンサー・リアルタイムデータ活用が推奨されるシーン(活用方針)に関する知見について、各局の検討・要望へのフィードバックを実施
  • 交通量データ活用について得られた知見、リアルタイムな交通量データ利用・共用に関する検討を基に、実現可能性に関する協議を継続
運用面
  • 庁内データ連携基盤における、活用が想定されるリアルタイムデータの対応に向けた機能拡充検討