ベータ版事業 03 産学官でのデータ連携に向けた課題検証

多様な主体との連携で
デジタルツインを
アップデート

ベータ版事業 03のイメージ図

概要

国・自治体、民間事業者、アカデミア等の多様な主体とデータ連携し、これまでユースケースを創出できていなかった分野において、デジタルツインでの活用効果が高いデータ充実及びユースケースの開発を図ります。
また、デジタルツインの中長期的な展望をヒアリング等を通して検討します。

目的

  • 国、自治体、民間企業、アカデミア等が保有するデータを連携試行し、連携における技術面等の課題を抽出する。
  • 多様な主体が持つデータ連携により、デジタルツイン上で新たな価値を創造できるか検証する。
  • 関連先端技術を研究している複数のアカデミア等にヒアリングを行い、今後のデジタルツイン発展に活用可能な技術を探索する。

実施スケジュール

2023年7月まで
国・民間等のデータ連携候補の選定・調整
2023年12月から
国・民間等とのデータ連携
中長期的ユースケースの検討及びヒアリング
2024年2月まで
成果取りまとめ、ロードマップへ反映

国等連携:
国関連機関が所有する
行政データ・公的データと
試行連携して3Dビューア上
データ拡充やユースケース検討
を実施

国関連機関が所有する都市環境を示すデータ(地表面温度等)や都市のインフラに関するデータ等を、デジタルツイン3Dビューア上に試行連携・可視化するため、候補となるデータの整理や関連機関と交渉・調整しました。

地表面温度の画像
地表面温度 (宇宙航空研究開発機構:JAXA)
荒川水深断彩図の画像
荒川水深断彩図
(国土交通省荒川下流河川事務所)
荒川水深段彩図を3Dビューアでみる
交通事故統計(警察庁)の画像
交通事故統計(警察庁)
:都内交通事故発生箇所の例、:事故の詳細情報
交通事故統計を3Dビューアでみる

民間等連携:
自動車からの車両位置情報・
車両制御データ等から
都市の状況把握の可能性を
検証(民間連携)

特定非営利活動法人ITS Japanと連携し、自動車メーカー2社から提供された車両データ等の行政事務への活用可能性を検証しました。今年度は、車両制御(ワイパー稼働速度)データによる高解像度な降雨強度の分析、及び車両位置情報(プローブデータ)による道路の通行実績・可否確認ができる可能性を踏まえ、これらのデータを庁内ビューア上に連携し、各局において活用可能性を確認できるようにしました。

車両から提供されるワイパー稼働速度分布の状況から、降雨強度を分析(イメージ)
車両から提供される通行実績やハザードランプ作動情報から、路面冠水等による通行困難状況を分析(イメージ)

参考:
車両データから得られる
情報の都市の状況把握への
活用の現況について

ワイパー画像データと雨量データについては相関がある見込みであり、雨量やゲリラ豪雨について、ワイパーデータを基に、解像度高く現況把握ができる可能性があります。

ワイパー動作による推定降雨量のグラフ
練馬区のアメダスで計測された雨量の表

民間等連携:
花粉飛散数データ

ウェザーニュースが独自に開発した花粉観測機「ポールンロボ」によって観測・解析された、花粉飛散数(2024年)のデータと連携を実施しています。
表示される花粉飛散数は、毎朝9時に、東京都下の全市区町村の前日1日・24時間の花粉の状況を示すデータをAPI経由で入手したものです。本データは、花粉の飛散が活発になる毎年1月上旬から5月上旬の期間において観測・解析されます。

検証成果・今後の課題

本検証により、以下が明らかになりました。

検証成果

  • 多様な主体との会話・協議を通じて、都市環境を示すデータ、インフラデータ、交通事故情報のデジタルツインを構成するデータ等を拡充し、活用効果が高いデータを充実させた。
  • 関連先端技術を有する企業・団体へヒアリングを行い、デジタルツインの特性や中長期的にみたその利点及び課題を踏まえ、中長期的に想定されるユースケースを検討した。

課題・今後の方向性としては、以下が挙げられます。

課題

技術面
  • 大規模かつ時系列情報を持つ2Dデータのビューア掲載等、技術的に課題が生じたデータの今後の取扱についての整理
運用面
  • 3Dビューアによるデータ可視化、地理空間データ分析ソフト等によるデータ解析の役割分担については継続検討が必要
品質面
  • 今後の各データリアルタイム化可能性については、技術面、ニーズ面から協議が必要

今後の方向性

連携拡大
  • 多様な主体とのデータ連携を継続実施を図るとともに、連携によって明らかになった課題をデータ活用のためのガイドラインへフィードバックし、今後の円滑な連携に繋げる。
  • 今後の庁外連携の在り方について、TDPF(東京データプラットフォーム)との連携方針も含め検討する。
連携深化
  • 今年度連携した主体との継続協議や更なる連携を探索する。
  • 今年度の連携成果を基にした、関係機関とのユースケースを継続協議する。