ベータ版事業 01 衛星データを活用した予兆検知高度化検証

衛星データを活用し、
宙(そら)から見守る。
未来の防災

ベータ版事業 01のイメージ図

概要

過去の災害事象等について衛星による観測可能性を検証し、衛星データ利用による今後の災害対応活動等の高度化可能性を検証します。
特に地盤変動(土砂崩壊、不適正盛土など)が想定されるエリアにおける定期的な衛星データ解析や、台風による港湾施設の被害状況の把握などに、衛星データが広域的かつ技術的に活用可能かを確認します。

目的

  • 災害発生前の予兆を衛星データを用いて検知できるかを検証する。
  • 将来の被災状況を早期に把握できるよう、過去の災害事例から関連する衛星データを集め分析する。
  • 衛星データを活用し各局事業の効率化・高度化を実現すべく、知識整理及び幅広くユースケースを検証する。

実施スケジュール

2022年7月まで
衛星関連の基本情報整理
地盤変動の過去事例を選定
港湾施設の変状事例を選定
2022年7月から
地盤変動の検証作業開始
港湾施設の変状の検証作業開始
2023年3月まで
成果とりまとめ

衛星データ活用の検証

斜面変状や不適正盛土など地盤の変化が想定されるエリアの監視や、
台風による港湾施設の被害状況の把握などに、
衛星データが広域的かつ技術的に活用可能か検証を行いました。

衛星による不適正盛土の
監視可能性の検証

衛星による不適正盛土の監視可能性の検証 イメージ画像
出所 :  熱海市公式Webサイト(https://www.city.atami.lg.jp/shisei/machidukuri/1011722/1011726.html

許可手続き等を行わず実施される、もしくは許可内容と異なるなどの不適正な盛土は、降雨等の影響により崩落し、災害に繋がる危険性を有しています。このため、不適正盛土を把握することは重要です。この不適正盛土の変状把握に、衛星データを活用する検証を行っています。
検証では、東京都内で実際に盛土されているエリアを対象に、過去の衛星データと施工情報等を用いて、盛土の施工状況を把握できるかを確認しています。
衛星データを用いることで、これまでの行政職員によるパトロール等に比べ、簡易に広域を監視できる可能性があることから、効率化・省人化が期待されています。

衛星観測技術の基本情報

衛星データを活用した各局事業の効率化・高度化に向けて、衛星観測技術の基本的な情報を整理しました。

検証成果・今後の課題

本検証により、以下が明らかになりました。

検証成果

  • 都庁内で衛星データの活用が期待される検証対象のユースケース(不適正盛土の監視、山岳道路斜面の変状把握、離島港湾の被害状況把握)を選定し、庁内業務での活用にあたっての課題と方向性を整理
  • 衛星に関する基本情報を整理・公開(日本語・英語)

課題・今後の方向性としては、以下が挙げられます。

課題

技術面
  • 現状の衛星の観測頻度では、短時間に発生した現象を衛星で捉えることが困難
運用面
  • 発災時のみの使用は費用面・体制面から非現実的
  • 発災時には迅速な解析結果の取得が必要
  • 発災時等、観測依頼から解析結果の入手までの具体的な運用体制の構築が必要
品質面
  • 解りやすい解析結果の提供が必要
  • 衛星データは検知対象以外の変化も検出してしまうため、ノイズ除去や優先順位付けが必要

今後の方向性

衛星観測の状況変化
  • 今後、数年程度で衛星の観測頻度が向上(解析結果の性能やデータ品質が向上)
  • 衛星データ取得/解析処理時間の短縮
  • 衛星データへのアクセス性向上
活用に向けた要検討事項
  • 衛星データの平時からの活用
  • 組織横断での衛星データ/解析結果の共有(データライセンス等)
  • 衛星データの特性を踏まえた用途
  • 持続的な運用体制