ベータ版事業 02 地下埋設物の3D化の社会実装に向けた課題整理

地下埋設物を管理する
持続的な体制を構築し、
安全なライフラインを確保

ベータ版事業 02のイメージ図

概要

地下埋設物の管理に係る持続的な仕組みと体制を検討するため、占用団体等各ステークホルダーへのヒアリング・意見交換を通して、現状における業務プロセス・課題の整理、将来像の検討を行います。
また点群データに基づく地上部の3Dモデル化を行い、過年度に構築した地下部の3Dモデルと合わせて、設計・施工協議等の高度化に資するかどうかを検討します。

目的

  • 地下埋設物を管理する上で望ましい、デジタルツイン活用の姿を検討する。
  • 地下のデジタルツインを持続させる仕組み/体制を検討し、社会実装に向けた道筋を明確化する。

実施スケジュール

2022年8月まで
現状の業務プロセスと課題の整理
2022年11月まで
各ステークホルダーへのヒアリング・意見交換
2022年12月まで
地上部における3Dモデルの高度化検討
2023年2月まで
地下埋設物管理に関する将来像の検討
2023年3月まで
成果とりまとめ

業務プロセス・課題の整理

既存の地下埋設物管理の業務プロセスにおける課題を把握するため、都庁関係部署等に対して、アンケート及びヒアリング調査を実施し、業務プロセスの洗い出し、手続き上の負荷・負担が生じる点の整理を行いました。

業務プロセスの整理

業務プロセスの整理 表。道路工事調整会議:工事計画の調整・決定のため、道路管理者が各道路専有団体の工事情報を収集し、工事時期や施工方法等の調整を行う会議を開催する。埋設物調査・照会:道路占有団体は、工事の設計前に、埋設物の有無を他の道路占有団体へ確認する。設計-設計:工事を行う道路占有団体は、埋設物調査・照会で収集した他道路占有団体の地下埋設物の配管情報等に基づき設計を行う。設計-設計協議:工事を行う道路占有団体は、設計の範囲内に地下埋設物を保有する他道路占有団体とそれぞれ個別に設計内容(配管の位置等)についての確認・協議を行う。申請-占用許可申請:工事を行う道路占有団体は、工事範囲を管轄する道路管理者へ道路占用許可申請を行う。申請-使用許可申請:工事を行う道路占有団体は、工事範囲を管轄する警察署へ道路使用許可申請を行う。施工-施工協議:工事を行う道路占有団体は、工事の範囲内に地下埋設物を保有する他道路占用団体とそれぞれ個別に工事内容(必要な離隔、防護の方法等)についての確認・協議を行う。施工-試掘・立会い:工事時に既存の地下埋設物に誤って損傷を与えないようにするため、施工前に実際に掘って正確な位置や位置(平面、深さ等)を確認する。施工-施工:施工業者が設計内容に基づき、施工を行う。施工-検査:監督員と施工業者が双方立ち会って出来形確認、検収、試験等を行う。

各業務における主な課題の整理

各業務における主な課題の整理 表。道路工事調整会議:23区では共通のシステムを利用出来ているが23区外では各自治体に対して紙での提出を行っており資料作成、共有(印刷対応等)に時間を要している。Web会議ではないため、会場を訪問する必要があり移動等に時間を要している。他企業が配布した大量の紙資料を持ち帰り、それを自社内で共有するためにスキャンする等の作業が発生している。埋設物調査・照会:埋設物調査・照会は対面対応のみで受け付けている道路占用団体が多く、事前の日程調整に時間を要している。埋設物調査・照会を受ける立場では、窓口対応する職員を確保しており、人件費がかかっている。古い年代に整備した施設等、図面にも反映されていない埋設物があり、図面と現地が整合しないことがある。設計:工事を行う道路占用団体が他道路占用団体に対して、設計協議を依頼した場合に、他道路占用団体から事前にFAXやメール等で資料(案内図・図面等)共有を要求されることが多く、時間を要している。メールのやりとりで足りるような内容でも、他道路占用団体が希望する場合、対面で協議しなければならない。申請:申請書類の様式が多く、申請書類を準備する側、提出されたものを確認する側双方の手間が大きい。申請は対面のみで受け付けられているため、移動等に時間を要している。施工:企業ごと・担当者ごとに対応方法が異なるが、原則、対面の協議であり移動等に時間を要している。大規模な工事の場合、試掘だけで数週間の期間を要している。

地上部のモデル化

昨年度の検討においては、高精度な地下埋設物3Dモデルを活用した「施工協議の効率化検証」を実施しましたが、検討の中で、各道路占用団体より、地下だけではなく地上の情報を同時に把握したいとのニーズが確認されました。
そこで今年度は東京都建設局で取得された都道点群データを地上の情報として活用し、地上と地下の両方の情報が揃った状態で、再度都庁内関係部署に対してデモを行い、協議等の高度化の可能性を検証しました。

都道点群データの活用

都道点群データの活用 イメージ画像

検証成果・今後の課題

本検証により、以下が明らかになりました。

検証成果

  • 都庁関係部署に対するアンケート・ヒアリングを通して、既存の地下埋設物工事に関連した業務プロセスを把握し、網羅的に課題を整理。
  • 国内外の地下インフラDXに関する政策・技術開発動向を整理し、東京都としての地下のデジタルツインの方向性を確認。

課題・今後の方向性としては、以下が挙げられます。

課題

技術面
  • 埋設物管理図面の精度不足(埋設位置のズレ、不明管の存在等)
  • 各企業・団体のデータ形式の不統一(位置精度、測地系等)
運用面
  • 各企業・団体独自のシステム・仕組み・ルールの運用
  • データ共有のハードルの高さ(地下埋設物はトップセキュリティの情報)

今後の方向性

データ整備の推進
  • 標準仕様等に基づく地下埋設物管理情報のデータ整備、仕組み構築
国・民間との連携
  • 国を中心とした整備が想定される地下インフラ共通プラットフォームとの連携
  • 民間を中心に開発が進む地下インフラDXアプリケーションの活用