実証 01 地下空間も含めたリアルタイム人流可視化

人々の動きや混み具合を
把握し、安心な移動を
サポート

実証01のイメージ図

概要

地下の混雑度を含む、日常時/発災時のリアルタイム情報提供サービスを構築して、その有用性を検証します。
地上だけでなく地下を含んだリアルタイム人流予測データ等を活用し、日常時の混雑を避けた経路と発災時に安全な経路を、ユーザーに適した形で提供します。

目的

  • After/withコロナ時代の社会において求められる、街での混雑回避を人々に促す。
  • 避難経路案内を視覚化し、人々の防災意識・避難意識を向上させる。
  • 発災時、通信が制限されている状況でも、人々に避難を促せる実用的なデータを提供する。

実施エリア 大手町・丸の内・有楽町地区

大手町・丸の内・有楽町地区エリアの写真

実施スケジュール

2021年8月から
地上部及び地下部のデータの取得
2021年9月まで
実証用のWebアプリ開発
2021年10月
アプリ等提供、アンケート実施
2022年3月まで
成果とりまとめ

Webアプリの作成・公開

リアルタイム人流予測データやIoTセンサー※1を用いて、地上および地下の今の混雑度を可視化することで、混雑回避を促すことができるか検証しました。また、発災時において、通信が制限されている状況でも、官民の災害時対応情報を活用し、人々の効率的な避難を促すことができるか検証しました。

  • IoTセンサー
    スマートフォンが発信する電波を利用し、付近を通過する人数を推計するIoTセンサー。スマートフォンの端末情報はデータ収集時に匿名化処理される。

TOKYO DigitalTwin Smooth NAVI ver.β
大手町・丸の内・有楽町地区版

アプリのスクリーンショット トップ

リアルタイム混雑度を可視化し、混雑を避けた経路情報をWebアプリで提供しました。また、発災時を想定してオフラインでも閲覧できる災害時オフラインマップを提供しました。

アプリのスクリーンショット 災害時オフラインマップ
災害時オフラインマップ

発災時に通信が制限されることを想定し、オフライン環境でも「災害情報を集約したビジョンの場所」と「千代田区災害時退避場所」を表示。人々に安全安心な避難を促します。

アプリのスクリーンショット 地上の混雑度の可視化
地上の混雑度の可視化

画面右上の混雑度ボタンをタップすることで地上の混雑度をリアルタイムで道路ごとに表示し、街での混雑回避を人々に促します。
1時間後の混雑度予測を確認することもできます。

アプリのスクリーンショット 混雑度を回避できる経路案内
混雑を回避できる経路案内

「ルートを検索」ボタンをタップし、始点と終点を設定することで、地上の混雑した場所を避けた経路案内を表示します。

アプリのスクリーンショット 地下の混雑度の可視化
地下の混雑度の可視化

IoTセンサーを用いて地下の人流データを取得し、アプリ上で混雑状況を可視化します。地上だけでなく、地下の混雑度もわかるようにすることでユーザーがよりスムーズに混雑を回避することができます。

アプリのスクリーンショット 災害時オフラインマップ
災害時オフラインマップ

発災時に通信が制限されることを想定し、オフライン環境でも「災害情報を集約したビジョンの場所」と「千代田区災害時退避場所」を表示。人々に安全安心な避難を促します。

アプリのスクリーンショット 地上の混雑度の可視化
地上の混雑度の可視化

画面右上の混雑度ボタンをタップすることで地上の混雑度をリアルタイムで道路ごとに表示し、街での混雑回避を人々に促します。
1時間後の混雑度予測を確認することもできます。

3Dビューアでの避難経路と混雑度の可視化

災害発生時に多くの帰宅困難者が発生するエリアにおいて、避難経路等を予め確認することによる効果を検証しました。
また、地上や地下の人流データを用いた混雑状況の可視化方法の検討を行いました。

スクリーンショット 避難経路の視覚化

災害時における避難経路のガイダンスを3Dビューア上で可視化しました。

スクリーンショット 混雑度の可視化

混雑の傾向等を3Dで把握するため、地上・地下の混雑度を3Dビューア上で可視化しました。

【推奨環境】

1.機器
  • 最小システム要件:
    CPU: 2 GHz デュアルコア、システムメモリ(RAM): 4GB
2.ブラウザ
  • 最新のChrome, Firefox, Edge, Safari

アンケート結果の分析

【日常時】混雑回避ルートの提供

これから訪問する場所がどういった状況にあるかを事前に把握することによるルート変更等の行動変化の度合いを把握することを目的に、Webアプリ利用者を対象に、混雑回避ルートの通行有無と、混雑回避ルートを通行した際に実際に混雑を回避することができたかどうかについてアンケート調査を行いました。
調査結果より、Webアプリ利用者のうち一定数が混雑回避ルート検索を利用し、過半が実際に混雑回避ルートを通行・混雑回避できたことを確認しました。(赤枠部分)

混雑回避ルートの提供 アンケート結果 グラフ。混雑回避ルート検索の利用:利用した 36% 利用しなかった 64%。混雑回避ルートの通行:通行した 65% 通行しなかった 35%。混雑の回避:回避できた 34% どちらかというと回答できた 58%。

【発災時】日常利用サービスと連動した災害用サービスの提供

日常利用のサービスと連動した災害用サービスを提供することの効果を把握することを目的に、3Dビューアで可視化した災害時における避難経路ガイダンスの利用者を対象に、避難経路のイメージができたかどうかについてアンケート調査を行いました。また、Webアプリの災害時オフラインマップの利用者を対象に、オフラインでの情報提供が有効だと思うかどうかについてアンケート調査を行いました。
調査結果より、3Dビューアにおける避難経路ガイダンスにより過半が避難経路のイメージができたことを確認しました。また、発災時や通信が制限された状況を想定したオフラインでの情報提供の有用性を確認しました。

日常利用サービスと連動した災害用サービスの提供 アンケート結果 グラフ。大丸有エリアでの混雑経路のイメージ:イメージできた 69% イメージできなかった 31%。災害時のオフライン情報提供の有効性:有効だと思う 74% 有効だと思わない 7% わからない 19%。

実証成果・今後の課題

本実証により、以下が明らかになりました。

実証成果

  • リアルタイム人流予測データ等を活用し、混雑を避けた経路案内を提供することで、一定数の利用者に混雑回避を促すことが可能
  • 避難経路案内の視覚化は、避難経路の認識・理解促進に寄与
  • 避難場所等のオフライン表示機能は、発災時や通信が制限されている状況においても情報収集が可能となり避難の促進に寄与

また、混雑を避けた経路案内や避難経路案内に関する以下のアンケート(自由記述)より課題を抽出しました。

日常時

  • 地上/地下の混雑度表示方法について
  • 追加してほしい機能や使いにくかった点について

発災時

  • 災害時に必要な情報について
  • 避難経路ガイダンスの表示方法について

その結果、課題・今後の方向性としては、以下が挙げられます。

技術面

課題
  • 使いやすさの向上
    • 説明や表示方法の改善
    • データの軽量化
    • ユニバーサルデザイン(色、音声案内等)への対応
今後の方向性
  • ユニバーサルデザイン対応
  • スマートフォンでの利用を想定したアプリ提供

運用面

課題
  • さらなる情報の充実
    • リアルタイム情報
      (混雑度や被災状況を確認するライブ映像、店舗や避難場所の混雑度等)
    • バリアフリー情報
    • 災害時に役立つ情報
今後の方向性
  • 【日常時】エリアの特性に応じたリアルタイム情報の追加による利便性向上
  • 【発災時】オンライン/オフラインで提供する情報を分類、情報へのアクセス方法を追加